ツタ屋敷


甲子園球場、教会などツタの似合うイメージってありますよね。先日、都内での打合せの帰り、私がこれまでに実物を見た中で最高のツタ屋敷に出会いました。

Tuta 左の写真、どうですか!お住まいの方は、どんな思いでここまでにされたんだろう?

気がついたら覆われていた(そんなことはないでしょ)、省エネ効果を狙って大切にしてきた(だったらすごい取り組みだ)、特に何も考えていない(たぶんこれが正解だろうな)。

ちなみに2年程前、東京都が「壁面緑化の効果検証と実態調査」の結果を発表しましたが、その中で、壁面緑化には最大10度程度の壁面温度低減効果が認められると報告していました。ツタのお宅は、この夏もさぞかし快適なんでしょうね。

話しは変わりますが、屋上緑化の出始めの頃、盛んにメキシコマンネングサ(セダム)の屋上緑化を推奨されました。写真のツタ屋敷の数軒お隣で、ブロック塀の足元にセダムを植えていらっしゃるお宅があって、そのお隣や歩道脇に風で飛んだであろうセダムが勝手に根付いていました。強いのか弱いのか良く分からないセダムですが、コマーシャルほどのメリットはない困り者だとわたしは思います。

よく学び、よく遊ぶ


よく学び、よく遊ぶ。それとも、よく遊び、よく学ぶ。どっち?ヨーロッパからの受講生の皆さんと触れ合ったこの2週間。ブログに感想を残そうと思ったら、こんな言葉が浮かんできました。

13日から始まったセミナーも、25日に無事終了。土日は、小杉造園の現場を見たり、京都へ出かけるグループがあったり、思い思いの過ごし方をして、それぞれ帰国の途についたようです。午前中は教室での授業、午後は蒸し暑い屋外での実習、夜はバーベキューをやったり研修所のプールで泳いだり、寝る間を惜しんで勉強して楽しんでいかれました。運良く、金曜日のフェアウェルパーティーの日は熱海の花火。研修所の真下の海岸で打ち上げられる花火は見事でした。皆さん勉強にいらっしゃったので、日本庭園のイロハが頭に残っているであろうことは当たり前。習字や茶道、餅つきなどを楽しんだり、地元の方々が飛び入り参加してくださったり、旅ならではの思い出が心に残ってくださっていればうれしい限りです。

日本の自動車が海外ブランドで逆輸入されて久しいですが、海外での日本庭園の評価が我が国にも好影響を及ぼし、職人たちが腕を揮える現場が増えると良いなと思います。次回セミナーは、今秋、英語でのコミュニケーションが可能な海外の造園家向けに開催する予定です。写真はある夜のバーベキューの様子。マジックを始めた方がいらっしゃったのですが、ヨーロッパの造園家の皆さん、押し並べて芸達者でしたよ。

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淡墨桜


淡墨桜(うすずみざくら)を見てきました。サクラにとってはオフシーズン。観光地でも空いているだろうなという思いからのチョイスでしたが、思いのほか人がいてビックリ。

Usuzumi この淡墨桜、日本で二番目に古いサクラとされており、山梨の神代桜(日本最古)と福島の滝桜と並び、日本の三大桜と称されています。何と樹齢1,500年(1,500年前に植えられたという古文書が残っているそうです)で国の天然記念物に指定されています。

もう何年か前に咲いているところを見ましたが、咲き始めはピンク、満開時は白、散り際に花が淡い墨色に見えることからこの名前がついたそうです。開花時の写真をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。

エドヒガンザクラという品種なのですが、幹周り9m以上、横に張り出した枝の大半は、丸太でつっかい棒が施され、あちこちに洞を補修した後があり、実に痛々しい。今では樹木医なのか専門家が面倒見ておられるでしょうが、戦後には岐阜市の医師の方が診断処置したそうです。たまたま、木の手当てに詳しい方が医師だったということだと思いますが・・・まさか、真剣に医師を呼んできたわけではないでしょう?

何事も度を越えたものを見ると大変なエネルギーを感じます。この木も高速道路のない岐阜の山の中にあったから生き長らえたのでしょうね。合併で本巣市になってしまいましたが、旧根尾村の方々の誠実さと、かの地の自然に敬意を表します。私も以前、旧根尾村でキャンプ場の設計をしたことがありますが、確かに役場の方々は良い人ばかりだったなぁ。淡墨桜横の売店では、美味しい鮎の塩焼きが食べられます。真夏でもおでんを売っています。ぜひ一度、お出かけください。近くに公共の温泉もあっていいですよ。

セミナー開催中


7/13の日曜日から、小杉造園の熱海研修所で「実践的な日本庭園美術及び日本庭園施工術セミナー」を開催しています。25日の金曜日まで、2週間にわたって、午前中は造園学の授業、午後は施工研修です。第一線の職人やデザイナーから、日本庭園のいろはを教わることができます。

今回の生徒さんは、ヨーロッパ各国から来日した10数名の方々です。皆さん自国では造園会社で活躍している人ばかりです。真剣に受講し、山ほど質問してくださいます。

初日には、バーベキュー&餅つきを楽しみ、もうすぐ熱海の花火(研修所の目の前の海岸で打ち上げられて迫力満点!)もあります。皆さんきっと、日本庭園に関する少しの知識と職人たちの心づくしのおもてなしの思い出を持ち帰ってくれることでしょう。

セミナーの内容は、小杉造園ホームページからご覧いただけます。興味のある方は、お問い合わせください。テレビや新聞・雑誌の取材も入っていますので、今後、見ていただける機会もあろうかと思います。お楽しみに。

デザインに関する講義の風景です。

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庭の持つ力


造園用語に「気勢(きせい)」という言葉があります。字の通り、「庭の持つ勢いの方向」と言う意味で使われます。私たちは庭を造る時、その庭の持つべき力とか、周辺環境に合わせた勢いとかを気にします。

Kisei 例えば、石にも木目のように「節理」と呼ばれる目があります。これを見極められないと、高価な石を据えたとしても、庭の中で不安定な浮いた存在になってしまいます。植木にも表と裏の顔があります。これが見極められないとせっかくのカッコイイ植木も台無しで、庭にまとまりが無くなります。なかなか、深い職人の世界ですよね。

意識して見ていただくと、にわか植木屋が何となく造った庭と本物の職人が造った庭の差が歴然と分かるようになりますので、お試しください。

写真はあるリゾートホテルの庭を7階から撮影したものです。海に近いため植木が一定の方角(写真奥から手前)を向いていることが分かります。自然が作り出す気勢です。

都会の森


白金台といえば、シロガネーゼの街。実際、ファミレスや書店なので全国チェーン店も白金仕様のデザインで、オシャレっぽく作られているところがおかしい。

Sizenkansatuen 東京目黒 白金台の駅から歩いて5分ぐらいのところに「国立科学博物館附属 自然教育園」という施設があります。漢字14文字が連なる仰々しい感じの施設です。

由緒正しき土地で、大正時代は宮内庁の御料地だったそうです。昭和24年から自然教育園として一般に公開され始めました。

私も数年前に入場料を払って入ったことがあるのですが、「ここが東京か!」と思える薄暗い森です。蚊に刺されたのと、カラスの鳴き声しか聞こえなかったことが記憶にあります。

東京でなくてもあれだけの森はなかなか見られませんので、機会があれば虫除けスプレーを持参で寄ってみてください。たしか、入場料300円だったかな?詳しくは自然教育園のHPでご確認ください。素晴らしい国の施設なのだから、もう少しHPを充実してくださるとなおいいんだけどなぁ・・・