適材適所2


問題です。どの棒が、イチョウでしょうか?

Ichou 日本の街路樹は、台風の季節がくる前に丸裸にされてしまいますね。防災という観点では、できるだけ風を受けないようにして倒れ難くする。強剪定してしまえば、しばらくメンテナンスしなくて済む。効率的で理にかなった管理ですよね。

でもでも、最近は夏が長く・暑く、9月10月でも緑陰が欲しいですよね。せっかくの街路樹も「棒」では、味気ないしなぁ。と思いませんか?

きっと、環境的な側面を鑑み、これからの街路樹管理は変わってくると思います。変わるといいな。

私は、大きな地方都市で生まれ育ちました。その街の街路樹は、それはそれは立派なものでした(過去形)。緑の仕事に携わるようになり、幸運にもこの街の緑化行政の中心に携わってきた方(故人)とお話をさせていただく機会がありました。

戦中、疎開させてあった高木を戦後に移植してきた。その後は、剪定予算を電線の保護や補助信号の設置などに充当する努力をして、できる限りの「街路樹無剪定」管理を貫いてきた。とおっしゃっていました。幸いにして、そのことが交通事故や台風被害を助長したことはなかっとのことでした。その結果、戦後数十年を経て抱えきれないような太さの街路樹になったのです。

これだけの話しで終われば、一つの信念を持って緑化行政に携わった方の立派な物語なのですが・・・久しぶりに帰省した生まれ故郷の駅前大通は、電線地中化の工事が完了し、ピカピカになっていました。誇らしげに、国の補助金によるところの大きな工事であると看板が出ていました。哀れ、抱えきれない太さのイチョウは伐採され、腕の太さにも満たないツバキとハナミズキになっていました。

ふるさとの皆さん、緑陰のない大通り、ピカピカ舗装の照り返しで熱中症にならないように、お元気でお過ごしください。電線地中化の工事はさておき、幅員数十メートルの駅前大通りの街路樹にツバキとハナミズキはないよなぁ・・・設計した人は、どういう審美眼しているんだろう。