サクラ騒動


おー、すごいことになっています。

たまたま通りかかったところで見かけたのですが、ソメイヨシノの幹と根が塀を倒す勢いで太っています。木を残し、何とか塀を持たせようと必死の努力をなさっていますが、そろそろ限界に近づきつつあるようです。危険ですので、早々の対処が求められている状況です。

Sakuranone

そもそもソメイヨシノの寿命は数十年といわれています。いかに広い場所でのびのび生長しようが、立ち枯れていく寿命です。腐朽菌に冒されやすいため、枝おろしもままならない性質であることも一つの要因です。古木は移植も難しいのです。

一方で、一斉に咲き誇り、はかなくパッと散り行く姿が日本人の心根に響き、古くから我が国で愛されていることも事実。よく保存運動で侃侃諤諤となる木ですね。結果、残るにせよ、伐採されるにせよ、一本の木をめぐり、人々が議論できるということは、私はいいことだと思いますが、それがマスコミなどを巻き込み、必要以上の論争になってしまうと考え物です。そういうとき、だいたいの話題が本質をそれていってしまいます。

美しく多くの人に愛されるソメイヨシノを残すことも大切ですが、毛虫の害や倒木懸念があることも事実、ケース・バイ・ケースで落し所を見つけてくだされば幸いです。ともあれ、木の性質を知らずに、ただサクラというだけで計画したり植えてしまったりすることだけは、避けたいものです。上に伸びるもの、咲く時期が異なるものなど、サクラにもいろいろあります。数十年先を見越した計画が求められるため、設計者・施工者は心して対処したいものです。良かれと思い、行う植樹です。次の世代に悩みの種を残さないように。

小杉造園のホームページはこちらから http://kosugi-zohen.co.jp