ツツジコブハムシ


先日、担当がある物件で枯れたサツキの写真を撮ってきました。

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枯枝をアップにしてよ~く見てみると黒い抜け殻のようなものがびっしりと付着しています。実はこれ、虫の糞でできているんです。

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サツキを枯らした犯人はツツジコブハムシという小さな甲虫です。このツツジコブハムシはちょっと変わった習性を持っていて、メスが産卵する時に自らの糞で卵をコーティングするのです。
孵化した幼虫は塗り付けられた親の糞に自分の糞を塗り重ねて作ったシェルターをヤドカリのように背負い、ツツジ類の若葉を食べて成長します。
成長した幼虫はやがてこの糞シェルター内で羽化しますが、成虫となって出てきたその姿は色といい、形といい、大きさといい、正に虫の糞そっくり!一見するとまったく区別がつかないんです。
近い仲間にはムシクソハムシというちょっとダイレクトな名前を付けられた虫もおります。(ブナ科やバラ科などを食べます)
虫の擬態というと、ハナカマキリの様に周囲の環境に姿を似せるものや、ハナアブ類の様にハチなどの強い虫の姿を真似るものなど様々ですが、このハムシの仲間は生涯を通して糞に擬態することを選んだんですね。
残念ながら今回は成虫の写真がないのですが、すっかり糞になりきった3mmほどの小さな体を見ていると、外敵の目を欺くには最適な選択肢のような気もします。
幼虫は春先に、成虫は夏頃に姿が見られます。時には株を枯らすほどの大発生をするので、もしツツジやサツキの葉にたくさんの糞のような物が着いていたら注意して見てみてくださいね。