庭園遺跡の発掘調査見学


 小田原方面の庭園管理をしている関係で、今まさに発掘調査中の小田原城跡に戦国時代の庭園遺構を見ることができました。とても珍しい庭園遺構で、歴史の解明にとても重要な発見になるようです。調査に携わっている職員の方から丁寧な説明を聞くことができましたが、同行された大学教授とその職員との問答は門外漢の私にはほぼ理解不能でした。ただこの調査が、掘り出された庭園残骸の各所に残る、わずかな手がかりをもとに各年代の庭園の有様を考察していくというとても緻密な作業であることは何となく理解でき、その途方もない作業に驚嘆させられました。


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伺った日は大雨の翌日で、先月の大雪の影響もあったのか、現場はまさに現世の風雪との戦いのようでした。そんな中、この庭園が、変わりゆく歴史を横目にずっと風雪に耐え、各時代の天変地異も経験し、時に人々に愛でられ、時に捨てられしながらも、今またこうして人々の前に姿を現し、細部にわたって検証されていることを思うと、我々の造園という仕事は、移ろいやすい人の世で、なかなか後世にまで残りやすい仕事なのかもしれないと、想いを新たにしました。

 400年も前に据えられた景石、いろんな種類の石材を使った敷石のモザイク模様など当時の名もない造園工がどういう意図でそこに石を据えたのか、想いをはせるととてもわくわくしました。後の世に恥じない仕事をしていきたいものです。