サザエさん考

日曜日、夕方6時55分。サザエさんのエンディングテーマと共に、子どもたちは「あー、お風呂にはいって、寝て起きると学校だぁ・・・」、大人たちは「また、一週間の仕事がはじまるぅ・・・」と、少し憂鬱になる。これは数十年来、日本の中間半分の世代が感じることに間違えない。

Sazae1 東京渋谷区から神奈川県の大和市をつなぐ、東急田園都市線。渋谷から4つ目の駅が桜新町駅。この駅から国道246へつながる通りが桜新町商店街。通称「サザエさん通り」である。途中に、サザエさんの作者、故長谷川町子さんが設立した「長谷川町子美術館」がある所縁の地だから。

商店街のケーキ屋さんではワカメちゃん、お菓子屋さんでは中島くんと早川さん、もちろん不動産屋さんでは花沢親子の立看板が出迎えてくれる。通りにあるコンビニは、かつて酒屋さんでサブちゃんのいる三河屋さんのモデルになったらしい。また地中化された電線の地上器には、サザエさん一家のステッカーが貼られている。なんとも微笑ましい商店街である。

そういえば、私が生まれ育った街でも、同じご町内に八百屋さん、魚屋さん、酒屋さんがあった。お使いのはしごをしたものである。地方の中心都市であったため、スーパーも郊外型大型店もあったけど、日常の必要なものはご町内ですべてが揃った。

考えてみると、私の両親の世代は、まさにマンガ「サザエさん」の世界そのもの。それぞれのお店は、私たちの世代(自分の同級生や先輩後輩たち)が廃業し、住宅やコンビニにした。恐るべき事実に気づいてしまったが、昭和50~60年頃のほんのこの前のできごとである。

そうえいば、サザエさんの家にも、毎年植木職人が来てますね。

最近では、テレビ版「サザエさん」に登場する人物が携帯電話を使ったりする。コマーシャルでは、マスオさんがマイカーローンで車を買ったり、果ては実写版で登場するイクラちゃんが青年実業家になって高級車に乗っている。イクラちゃんが言う「ボク、しゃべれなかったから」は、まったくつまらない冗談である。

こういうのは、「洒落たジョーク」でも「現代風俗にあわせた」でもなんでもない。製作者の「横着」と「アイデア不足」の産物だと思う。くだんの美術館横に通称「サザエさん公園」なるものがある。タラちゃんが遊んでいる砂場もなければ、カツオくんが野球をする広場もない。ただサザエさん通りにあるから無思慮に命名されただけ(だと思う)。区民のイメージなどまったく考えていない「横着」そのものである。

またここで考え及ぶ。きっと最近のサザエさんを作っているのも、公園に名前を付けたのも、私たちの世代だ・・・本当に申し訳ない。

小杉造園株式会社ホームページはこちらから http://kosugi-zohen.co.jp/


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