建物壁面の緑化

都心部に限ったことですが、近年、建物壁面を緑化する工事が急増しています。皆さんも街を歩くと良く見かけることだと思います。確かに建物内の温度上昇を抑え、省エネやCO2排出抑制につながります。企業ビルや公共施設にとっては、環境に優しいというアピールにもなると考えられているのでしょう。個人的には、不自然で美しくないと思っています。その分、周りの緑地面積を増やせたらどれだけ素晴らしいかと考えます。まぁ、それができないから壁面緑化にするというのが現実です。

さて、写真はあるビルの壁面。成功例になる一つです。1階のテナントはカフェで、レンガタイルの壁面に合わせたデザインは良く理解できます。緑化補助資材もステンレスのバーがオリジナルで製作されており、植物が繁茂するまでの見た目にも配慮しています。植物のチョイスも正解です。多くの壁面緑化が、このように総合的に判断して行われるともっと建築的にも造園的にも優れた施設になってくると思います。

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で、植物の話し。多分、写真はフイリのヘデラ・カナリエンシス(オカメヅタ、カナリーヅタ)だと思います。このヘデラは、擁壁の上部から垂らして使用するものなので、人が緑化補助資材に誘引していけばバランスよく建物が緑で被覆されていきます。

似た植物にフイリのヘデラ・ヘリックス(セイヨウキヅタ、イングリッシュアイビー)があります。見た目がこちらの方が美しいので多用される傾向にあります。ただし、こちらのヘデラは、ツルから吸盤状の根を伸ばし、自力で壁面を登っていきます。建築壁面をいくら根が這いまわっても問題なければよいのですが、いざ、きれいに撤去しようとしても取れません。壁面の強度や防水が心配になってくるという方にはおすすめできません。

同じヘデラをとってみても品種により性質の差が顕著です。壁面緑化も大切な建物を構成する一部です。流行の工法に惑わされず、事の本質を議論できる設計士にご相談ください。

小杉造園ホームページはこちらから http://kosugi-zohen.co.jp


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