ど根性ケヤキ

かつてテレビのニュースで話題になった「ど根性ダイコン」ならぬ、「ど根性ケヤキ」を東京・原宿で発見しました。人々がお値打ち衣料品店に行列しているのを横目に、このケヤキはそこに立ち続けるために根を張っています。

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植木は根から土中の酸素や養分を吸収し成長します。故に、植木は自らの栄養補給に適したところを目指して根を張っていきます。写真の場所は、元々あったケヤキを残しつつ下の擁壁をケヤキ側へ移動した結果なのでしょうか?ケヤキの直径の半分にしか根を張る場所がありません。擁壁側(写真右側)から強く押されたら、歩道側(写真左側)へケヤキが倒れてきそうに見えますね。

もちろん植木も自ら倒れないように遠くへ根を張ろうとします。その結果、遠くへ根を伸ばすので幹に近い根が太く盛り上がる結果になっています。歩道などでよく舗装を根が持ち上げてしまう場所を見かけますが、舗装の隙間を目指して根が伸びて入り込んでいくためにこれと同じ現象がおきているのですね。

一般に地上で植木が葉を茂らせている水平投影面積分は、(障害物がない限り)地中に根が張り巡らされています。単純に地上の枝葉を剪定、伐採すると根の生長も緩くなります。単純にきれいに刈込むだけでなく、定期的なお庭の手入れは、地中の根を牽制することにもなっているのです。もちろん写真のような擁壁やブロック塀の近くなどでは、直接的に根を切って地中の埋設物に悪影響を与えないようにすることもあります。

先人達は、このような枝葉と根の関係を当然のように知っていたのですね。例えば美しいサクラの根は浅く広がります。大きくなるため余り住宅の庭木では見かけません。一方で河川堤防に植えて護岸を守っています。(倒木により堤防が決壊するので河川には木を植えてはいけないという考え方もあります)また、根を広く張る落葉広葉樹の山を下に根を伸ばす性質のあるスギの二次林にすることで土砂崩れが発生しやすくなるということもあります。

植木は与えられた環境で何とか生き延びようと健気な努力をしています。私たち人間も、不景気な世の中に立ち続ける限り、グッと歯を食いしばらなければならないというオチでした。

小杉造園のホームページはこちらから http://kosugi-zohen.co.jp


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